プロジェクト概要

インドネシアにおいて大量繁茂する水草処理に課題を抱える水力発電所(チラタダム湖)において、水草除去作業を人力から機械化することで、ダム湖を管理する国営電力会社(PJB)の水草除去マネジメント能力を飛躍的に向上させ、経費削減を実現すると共に、刈り取り後の水草の有効利用方法を開発し提供する調査を行いました。    

チラタ湖の水草繁茂の様子

プロジェクト背景と開発課題

インドネシア政府は堅調な経済成長を支えるため、電力供給力の増強を喫緊の課題として位置付けています。発電事業を担うインドネシア国営電力公社(PLN)としても設備増強のための費用捻出を図るため、水力発電所の維持管理費に占める水草除去に係る費用負担の軽減策が求めらています。PLN傘下で水力発電所の運営管理を担うPJBでは、年間を通じて繁茂し、発電用水の取水を妨げる大量のホテイアオイの除去にあたり、これまで手作業による非効率的な除去を行ってきました。処理能力を高めるため、機械化に向けた検討を進めており、国内最大規模のチラタ水力発電所において水草除去船の導入(機械化による効率的なダム湖の水草除去マネジメント向上)に強い期待が寄せられています。

人力による水草除去作業

企業の製品・技術

ノダック社は、湖沼やダム湖で繁殖する浮遊性の水草を機械的に刈取り除去する国内唯一の水草除去船の製造を行っています。本調査で提案する製品(WH-3000)は、これまで日本国内では競合他社を寄せ付けず、100%に近い販売シェアをもっており、ノダック社は毎年、日本各地での水草刈取り業務を自治体から受託し、総合的な水草除去マネジメントサービスを提供してきた実績があります。

 

提案製品(WH-3000)の主な技術的特徴は以下の通りです。

  • 効率性:刈り取り幅が3mと外国製に比べ広く、効率的な水草除去作業が可能。

  • 操作性:パドル駆動で、操船初心者でも操作可能。小回りが効き、容易に転覆しない構造設計。

  • 耐久性:耐用年数10年で、特に中国製と比べ故障や劣化が起こりにくい。

  • 国土交通省のNETIS(新技術情報提供システム)に登録されている技術・製品。

プロジェクトの目標・成果

水草除去作業を人力から機械化することで、効率的かつ適切な水草管理方法が理解され、PJBの水力発電所の維持管理効化を図ります。また、刈取後の水草の有効利用方法を合わせて提供することで、水草刈取から処理までのパッケージでの対応策が理解され、持続的に水域環境の改善が図れるモデルが構築されることも重要な目的です。

 

成果として以下の内容が挙げられます。

  • 人力・機械によるコスト比較分析を行い、機械化(WH-3000導入)によって費用削減が可能であることが分析結果として認められました。

  • ​除去後(陸揚げ後)の大量の水草の処理・有効利用方法として、堆肥化事業の可能性を調査し、その現実性が確認されました。

  • 将来、機械化の導入が見込まれるチラタ湖以外の潜在的市場(他地域の湖・水域)の調査によって、機械化のニーズが存在することを確認しました。

  • 現地パートナーや関係省庁と協議を行い、今後のビジネス展開のためのネットワークを構築しました。

  • ​現地の要人を日本へ招聘し、日本のおける水草除去船の実績とその有効性への理解促進を行いました。

  • 本調査に基づいた継続案件として、実際にWH-3000をチラタダム湖へ持ち込み、水草刈取りと堆肥化事業を行う「普及・実証事業」(ODA案件)(2016年~2018年)に繋げることができました。
     

JDIの役割

この調査においてJDIは、関係省庁からのヒアリング、ビジネスモデル検討、調達調査、市場調査を担当しました。また、企画書の作成、会議資料・報告書作成、要人の本邦受入なども支援しました。外部人材として参加した水草堆肥化の専門家が、堆肥化事業に関する調査を担当しました。また、本調査の成果を経て、2016年秋から、水草除去船の現地への導入に係るビジネス展開を図るため、「普及実証事業」を開始しました。

チラタ湖の水草繁茂の様子

PLNでの会議。WH-3000の紹介と計画の説明

​カウンターパート・関係省庁要人の本邦招聘

チラタ湖で養殖を行う漁民への聴き取り調査の様子

PJB事務所での協議

他地域への現地視察