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再生路盤材を活用した粒状路盤工法の導入にかかる案件化調査

​企業名:株式会社丸利根アペックス、株式会社日動エコプラント

対象国:バングラデシュ国

​期間 :2016年4月~2017年6月

バングラデシュの道路現状(骨格となる路盤がないか、または脆弱)

プロジェクト概要

本調査は、建設廃材(主にコンクリート、アスファルト)を収集し、破砕プラント活用して安価な再生路盤材を取り出し、現地の施工事業者や建材販売店等に販売するビジネスの可能性を検討することを目的とする。

プロジェクト背景と開発課題

同国における国内輸送手段のほとんどは道路であるが、国道、地方道の新規整備はピッチが遅く、既存道路の状態もよいとはいえない。また、首都ダッカ市内については、道路(市道)が人口に比して少ないが、道路の新設はあまり計画されておらず(用地費が高いため)、既存道路の状態も良好ではない。バングラデシュにおいて、このような背景には、道路の骨格となる路盤層(舗装層の下の層)の中に骨材(砂利、砂類)があまり含まれていないことが挙げられる。バングラデシュは自然石に恵まれず、極めて高価なために、路盤材は破砕レンガと砂利がほとんどで、かつ薄く、その上にコンクリートで固めているため、結果として不陸(道路の歪みや傾き等)や凹凸等が発生しているのが現状である。
このため、車両はスピードを出せず、また、雨季には通行不能になる道路も多いことから、産業活動や市民生活が制約されている。また、緊急時のライフライン確保に支障をきたす個所も多い。

企業の製品・技術

提案する製品・技術は、バングラデシュの河川敷や沼地等に投棄されている建設廃材を収集、コンクリートやアスファルト等を中間処理することで再生路盤材(砕石、砂利)を取り出し、道路事情に応じた粒度調整して路盤を築造する工法(粒状路盤工法)である。本工法は当社の最も強い技術・ノウハウであり、バングラデシュの脆弱な道路整備に資すると考えている。以下のような特長を持つ。
①    建設廃材を中間処理するため、自然石が希少で高額なバングラデシュの砕石・砂利を利用する場合に比べ、材料費を5分の1程度に抑制でき、経済的である。
②    自然砕石や砂利に比して透水性が高く、豪雨や洪水の際に水が滞留するのを緩和する。
③    多様な粒度をもち、粒度調整ができるため圧密になる。(凹凸がでない)
④    再生路盤材の骨材強度が高く、全体に強度の高い路盤築造が可能。
⑤    道路事情に応じた粒度調整(ここは当社の最も強い技術ノウハウ)により、多様な道路事情や地盤を持つ地域に有効。
⑥    路盤を築造せずに舗装(表層)と破砕レンガ補修を繰り返すバングラデシュの現状は耐久性がなく、これと比較すれば耐久性を有する。
⑦    建設廃材を再生し路盤材を生成するため、環境負荷が小さい(建設廃材リサイクルの推進に貢献する)。

バングラデシュの道路改善を可能にする粒状路盤工法

プロジェクトの目標・成果

現地(ダッカ市内)で収集したコンクリート廃材を試料として、再生路盤材(再生クラッシャランという)の規格を満たすか否かを判断するには、いくつかの試験項目があるが、本調査では、①骨材のすりへりに対する抵抗力を測定するすりへり試験(不純物が混入している場合などは強度は弱くなる)と、②密度・吸水率(密度が低く吸水率が多いようであれば、粒度調整により製造される再生路盤材の骨材としては不適格になる)のふたつの試験から判定することにした。
すりへり試験は、ロサンゼルス試験機を用いた世界標準の強度(抵抗力)測定試験である。この試験は、5~13mmの建設廃材を、鋼鉄球と一緒に試験機内に投入し、500回転させ、すり減った廃材(1.7mm以上の篩を通過)の重量が全重量に占める比率から判定するものであるが、試料のすりへり試験の結果は27(%)であり、合格となった。また、現地の研究機関で実施した結果についても25~36(%)で、ほぼ同様な結果となった。

 

JDIの役割

本調査では、市場調査、道路の施工実態等に関する調査、各種情報収集、開発課題の設定、事業計画の立案、ODA案件化の検討等を行った。

路盤が弱く傾いた地方道(ナラヤンゴンジ)

ボナニ地区道路の断面(レンガ材を多用)

道路断面(工事中)

工事中の市内道路

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