top of page

ダム湖の水草除去マネジメント向上 普及・実証事業

​企業名:ノダック株式会社

対象国:インドネシア国 チラタ ダム湖

​期間 :2016年10月~2018年9月

プロジェクト概要

2015年~2016年に実施した「ダム湖の水草除去マネジメント向上事業案件化調査」に基づいて、本普及・実証事業ではチラタダム湖において、実際に水草除去船(WH-3000)を導入し、PJBに対しWH-3000の操船技術・メンテナンスのトレーニングを行いました。また、効率的な水草除去計画によって水草管理費の削減を図り、並行して、刈取り後の水草の有効利用方法としての水草堆肥化の実証試験を行い、有機肥料としての販売を含む事業化を調査を実施しました。これらの総合的な水草マネジメントの確立により水草除去船と技術の普及を図りました。    

チラタ湖へ湖上搬入されるWH-3000

プロジェクト背景と開発課題

インドネシア政府は堅調な経済成長を支えるため、電力供給力の増強を喫緊の課題として位置付けています。発電事業を担うインドネシア国営電力公社(PLN)としても設備増強のための費用捻出を図るため、水力発電所の維持管理費に占める水草除去に係る費用負担の軽減策が求めらています。PLN傘下で水力発電所の運営管理を担うPJBでは、年間を通じて繁茂し、発電用水の取水を妨げる大量のホテイアオイの除去にあたり、これまで手作業による非効率的な除去を行ってきましたが、処理能力を高めた機械化に向けた検討を進めており、国内最大規模のチラタ水力発電所において水草除去船の導入(機械化による効率的なダム湖の水草除去マネジメント向上)に具体的な期待が寄せられています。

また、湖から除去した大量の水草は放置された状態にあり、悪臭、マラリア蚊の繁殖などの問題を引き起こしているため、水域環境マネジメントの観点から適切な処理が求められています。

企業の製品・技術

ノダック社は、湖沼やダム湖で繁殖する浮遊性の水草を機械的に刈取り除去する国内唯一の水草除去船の製造を行っています。本調査で提案する製品(WH-3000)は、これまで日本国内では競合を寄せ付けず、100%近い販売シェアをもっており、ノダック社は毎年、日本各地での水草刈取り業務を自治体から受託し、総合的な水草除去マネジメントサービスを提供している実績があります。

提案製品(WH-3000)の主な技術的特徴は以下の通り。

  • 効率性:刈り取り幅が3mと外国製に比べ広く、効率的な水草除去作業が可能。

  • 操作性:パドル駆動で、操船初心者でも操作可能。小回りが効き、容易に転覆しない構造設計。

  • 耐久性:耐用年数10年で、特に中国製と比べ故障や劣化が起こりにくい。

  • 国土交通省のNETIS(新技術情報提供システム)に登録されている技術・製品。

プロジェクトの目標・成果

水草除去作業を人力から機械化することで、効率的かつ適切な水草管理方法が理解され、PJBのインフラ維持管理の効率化に貢献することに加え、刈取後の水草の有効利用方法を合わせて提供することで、水草刈取から処理までのパッケージでの対応策が理解され、持続的に水域環境の改善が図れるモデルが構築されることを目標としました。

本事業の成果として以下の内容が挙げられます。

  • WH-3000の導入、及びPJB職員に対する操船・メンテナンス指導。

  • WH-3000と、人力及び中国船との水草除去費用の比較データを実証試験収集。競争力・優位性を実証。

  • 従来の人力及び中国船(既存)による水草除去作業のデータ収集・分析を行い、WH-3000と併せた効率の高い水草マネジメント手法のモデルプランを作成。

  • ​除去後(陸揚げ後)の大量の水草の処理・有効利用を目的とした水草堆肥化(有機肥料化)の実証実験を実施。

  • 現地肥料会社・大学・PJB・地元住民を含めた持続性のある堆肥化事業体制を構築。

  • ​現地の要人を日本へ招聘し、日本における水草除去船の実績とその有効性への理解促進を図り、他水域(市場)へのプロモーション活動を実施。

  • 現地パートナー(販売店)候補の選定、協議、契約交渉を実施。

  • チラタ ダム湖における水草管理能力・除去能力の向上、PJBの業務量(経費)削減への貢献。

​WH-3000の操船指導に関する説明を行う様子

湖上での操船指導1

湖上での操船指導2

WH-3000の導入を喜ぶ関係者一同

IMG_2648.JPG

操船指導

IMG_2642.JPG

操船を学んだスタッフへ認定書を授与

JDIの役割

JDIは、本事業の企画書作成段階から事業完了報告書作成まで、円滑な事業実施のための支援を行いました。堆肥化事業調査については、日本から参加いただいた専門家と、堆肥の研究を行っている地元大学教授らと協力し、水草の堆肥化による有機肥料の市場調査・販売可能性調査を行いました。

そのほか、実証実験による能力比較データ収集のサポートと、その実証データに基づく中国製、ドイツ製、人力とのコスト比較を行い、WH-3000の定量的な優位性を証明しました。加えて、PJBの過去の水草管理データを分析し、チラタダム湖内のエリアごとの刈取りの図表を作成し、効率的な水草管理モデルプラン策定を支援し、水草管理コストの削減に貢献しました。周辺住民への聞取り調査、各種英文資料作成、本邦研修(招聘サポート・通訳)の支援といった面からも提案企業の事業実施をサポートしました。

堆肥化専門家によって堆肥化作業の指導を受ける作業員

水草に堆肥化の基材を投入し攪拌を行った

​堆肥化と投入材の攪拌を終え、実証試験の準備が整う

PJBにて、水草除去管理データに関する情報収集を行った

interview 1.jpg

周辺住民への聞取り調査

IMG_2657.JPG

顧客候補や関係者らを集め、​WH-3000のデモンストレーションを行った。

bottom of page